収入保障保険とは?入る必要はあるの?メリット・デメリットを徹底解説
収入保障保険とは?入る必要はあるの?メリット・デメリット
巷には数多くの保険が溢れています。
いったいどこの会社の、どの保険商品を選べばよいのか、完全に理解している人は少ないのではないでしょうか。
最近、働き盛りの世代向けの保険商品である「収入保障保険」が注目を集めています。少ない保険料で大きな保障、というのがウリとなっていますが、そんな収入保障保険の特徴とメリット、デメリットについてまとめてみました。
収入保障保険とは
収入保障保険とは、契約者が死亡した時に、その月から契約期間修了までの一定期間、月々決まった額のお金を受け取ることができる保険です。死亡保障のついた定期保険の一種となります。
通常、定期保険は、掛け捨てで、死亡時に一括で遺族が保険金を受け取ることができます。30年、死亡保障3000万円の定期保険を30歳から始めたとしたら、40歳で亡くなっても、50歳で亡くなっても、59歳で亡くなっても、保険金は満額の3000万円が一括で支払われます。
収入保障保険の場合、死亡したら一括ではなく、分割で保険金を受け取ります。30歳で契約期間が30年、60歳で終了する収入保障保険に入ったとします。月々受け取る金額は5万円~30万円の間で設定するのが一般的なようですが、仮に20万円として契約をします。そして40歳で亡くなったとしたら、そこから20年間、毎月20万円が遺族に支払われることになります。50歳で亡くなったら月20万円が10年、59歳で亡くなったら月20万円が1年、という具合です。契約期間満了間際に死んだとしたら、受け取れる金額は0に近くなります。(保険会社の商品によっては最低でも1年間は受け取れる、などと保証しているものもあります。)
というわけで、収入保障保険は早く死ねば死ぬほど受け取れる総額が大きくなります。年を取ってから死ぬと総額で見れば損するじゃん!とも思えますが、そもそも収入保障保険はまとまった金額を残そうという目的で入るものではありません。
「お金の必要度合い」というものはその時々で変わるもの。子供が大学を卒業するまでの万が一に備えて、とか、定年退職するまでの間に家族の生活費に、など、20年~30年というスパンで見た時に、働き盛りのお父さんが死んでしまっても月々困らないようにしよう、というのが収入保障保険に入る目的です。残された家族にとっては文字通り「毎月の収入が保障される」というわけです。通常の定期保険や終身保険よりも月々の掛け金はかなり割安になるので、子育て中の世帯に人気がある保険です。
収入保障保険に入るメリット
収入保障保険に入るメリットは、やはりその保険料の安さです。
35歳で死亡保障3000万円、60歳満期の定期保険に入ったとしたら、月々の掛け金は9000円~1万円くらいになる保険が多いです。(保険会社や商品によって異なります。)
それに対して、同じく35歳で60歳満期、死亡時~満期まで月額20万円が受け取れる収入保障保険に入ったとしたら、月々の掛け金は3000円~4000円程度で抑えることができます。(保険会社や商品によって異なります。)
保険料は掛け捨てです。
これから子育てをしていかなければならない若い夫婦にとって、月々の保険料はかなり痛い出費です。でも、もしも万が一何かあった時に、日々の食事にも困るような生活に急に転落してしまうというのも恐いから何か保障が欲しい…、そんな時に収入保障保険が助けとなるわけです。
また、通常の定期保険は、年齢が上がれば上がるほど死亡率が高くなっていくがために保険料も上がっていきますが、収入保障保険は保険料が一定のまま上がりません。無理のない範囲で、支払いを続けることが可能です。
そして、通常の定期保険のように3000万円など大きな金額を一括でポン、ともらってしまうと浪費してしまう可能性がありますが、収入保障保険なら月々定額が支払われるので安心です。家族の1ヶ月の生活費に合わせて保険金を決めておくことができます。大黒柱のお父さんが若くして亡くなってしまっても、生きて定年退職する年齢くらいまでの間は一定の収入が保障されるということで、残された家族もライフプランが立てやすくなります。
収入保障保険に入るデメリット
収入保障保険のデメリットは、掛け捨てであるということです。貯蓄型の保険ではないため、支払った保険料は戻ってきません。30歳で30年満期で加入したものの、60歳になってもピンピン元気でいたとしたら、それはそれで喜ばしいことですが、それまでに支払った保険料は戻ってきません。掛け捨ての保険は「毎月安心を買っている」という意味合いもあるわけです。無事に満期を迎えられたら「ああ、保険をもらうような事態にならなくて良かったね」と笑顔でハイタッチを交わしましょう。
死亡した時期によって受取総額が変わる、というのも収入保障保険のデメリットの1つです。しかし、収入保障保険に入るそもそもの目的は「一定期間、月々定額の収入を保障する」というものなので、まとまった金額が必要だとか、資産運用したいという人には向いていないといえます。
総額だけを考えたら「お父さん、早く死んだ方が保険金は得になるのに」ということになり、家庭内の空気が不穏になってしまいます。毎年受取総額が減っていくのを数えながらため息をつくような人には、収入保障保険は向いていません。というか、夫婦としてすでに関係が破綻しているので、他の保険を検討するか、家族の在り方を見つめ直しましょう。
また、契約時に喫煙歴など健康上の問題が保険料に響くのも収入保障保険のデメリットとなります。年をとるにつれて健康に問題が出てくる事が多いので、若い内に入る方が良いともいわれています。
収入保障保険を扱ってる企業
収入があまり高くなくて、貯金も全然ないけど、家族を養わなければならないし、万が一の保障も欲しい…という若い夫婦が増えてきているので、収入保障保険への需要も高まっています。そのため、多くの保険会社が収入保障保険を取り扱っています。
例えば、チューリッヒ生命の「「収入保障保険プレミアム」や、AIG富士生命の「さいふにやさしい収入保障」、T&Dフィナンシャル生命の「家計にやさしい収入保障」、損保ジャパン日本興亜ひまわり生命の「家族のお守り」などの収入保障保険の商品があります。
各社の保険商品の名前からして、「お金はないけど万が一に備えて、残された家族の生活を守りたい」という人のための保険であることがわかります。
国内大手の保険会社から外資系の保険会社まで、ほとんどの保険会社で収入保障保険やそれに類する保険を取り扱っています。ガン保障、三大疾病保障をつけたりといったオプションの特約や、途中から定期保険に転換したりといった切り替えなど、保険会社もさまざまなプランを用意しています。家族の将来を考えた時に、どんなライフプランで過ごしていくのか、どれくらいの収入があれば暮らしていけるのかなど、家族でよく考えて保険を選ぶとよいでしょう。納得がいくまでファイナンシャルプランナーや保険の担当者と話をし、見積もりを取ることも大切です。
収入保障保険の特徴まとめ
以上から収入保障保険の特徴をまとめると、
・掛け捨て
・保険料が安い
・保険料が変わらない
・1ヶ月の生活費に応じて保険金を決められる
・死亡時から満期まで定額を毎月受け取れる
・保険金の受取総額は年々減っていく
となります。
向いているのは「収入が少ない若い世帯」や「まとまった金額があると使ってしまう人」で、向いていないのは「大きな金額を受け取って必要なことに使いたい人」や「受取総額が減るのが我慢ならない人」です。
「お父さん、長生きしてね(でも途中で死んでもなんとかなるから安心してね)」とニッコリ笑って言えるように、万が一に備える保険を検討してみてもよいのではないでしょうか。