これで完璧!給料60万の人が払う全ての税金(所得税住民税)・保険料を見やすく解説 | 給料BANK

これで完璧!給料60万の人が払う全ての税金・保険料を算出!

これで完璧!給料60万の人が払う全ての税金・保険料を算出!

給料60万の人が払う全ての税金画像

給料60万の人が払う全ての税金を計算!

給料60万円というのは、フリーターではまず無理な金額です。日給2万円で30日間休みなく働いてやっと60万円になります。
実際には休みなく働くというのは難しく、日給2万円というのもよほどの重労働や特殊な仕事でなければもらえない報酬なので、フリーターは現実的ではありません。
正社員の中でも大企業に勤めている人や、中小企業で部長職など役職を持っている人、自営業で仕事をたくさん受注できる人、など、一部の人だけが稼ぐことができるのが、給料60万円なのです。
年収に換算すると、720万円~960万円くらいになります。
年収900万円を超えてくると、児童手当など多くの手当の年収制限に引っかかってしまうため、「税金ばかり払って損をしている」と思う人が増えるそうです。さて、そんな給料60万円、一体どのくらいの税金が引かれているのでしょうか。所得税、住民税、社会保険料、ひとつずつ見ていきましょう。

給料60万の人の所得税・税率

所得税とは、給料総額から控除分を除いた額にかけられる税金です。
イギリスで生まれた制度で、日本では明治時代に導入されました。
当時の富国強兵の国策を推進するに当って莫大な予算が必要となり、国民から強制的に徴収することにしたわけです。その時代の制度が、税率を変えながら今に生きています。現在では国の税収の30%を占め、非常に重要な財源となっています。
サラリーマンの場合は、所得税は先に給料から天引きされて納められます。自営業者の場合は、確定申告をして所得税を自分で納めることになります。
所得税は累進課税制度をとっています。所得が高い人ほど、高い税率の所得税を払うことになっています。収入の低い人から、5%、10%、20%、23%、33%、40%、45%の7段階に税率が上がっていきます。

詳しくは国税庁HP、所得税の税率のページを参照してください。

所得税早見表

所得税早見表画像

給料60万円の場合、ボーナスがない人は、60万円×12ヶ月=720万円の年収となります。正社員で4ヶ月分のボーナスが入るとしたら、60万円×16ヶ月=960万円の年収となります。
そこから会社員の場合は「給与所得控除」を除き、非課税となる通勤手当、社会保険料を差し引いた額(課税所得)に税率をかけることになります。
社会保険料とは、健康保険、介護保険、厚生年金、雇用保険などを総称したものです。

給与所得控除

給与所得控除画像

まずは給与所得控除を計算してみましょう。
非課税となる金額は人によって異なるので、一律に課税所得がいくらになるというのを定義することはできませんが、ここでは月収60万円がそのまま課税所得として計算をしてみます。
 
・課税所得が年間720万円
720万円×10%+120万円=192万円
が給与所得控除額になるので、控除を引いた額は528万円です。
 
・課税所得が年間960万円
960万円×10%+120万円=216万円
が給与所得控除額になるので、控除を引いた額は744万円です。
 
所得税早見表を見てみると、課税所得が528万円の場合は、税率20%、控除額は42万7500円となります。課税所得が744万円の場合は、税率23%、控除額は63万6000円になります。
 
・課税所得が720万円の場合(給与所得控除後528万円の場合)
528万円×20%-42万7500円=62万8500円
が年間の所得税額になります。
 
・課税所得が960万円の場合(給与所得控除後744万円の場合)
744万円×23%-63万6000円=107万5200円
が年間の所得税額になります。
 
会社の従業員として給料をもらっている人は「給与所得の源泉徴収税額表」が定められており、それにしたがって給料から所得税が天引き(源泉徴収)されます。扶養家族の人数によって、源泉徴収される金額は変わってきます。
課税所得が月額60万円の場合
・扶養家族0人:4万7100円
・扶養家族1人:4万640円
・扶養家族2人:3万4160円
・扶養家族3人:2万7700円
・扶養家族4人:2万1240円
・扶養家族5人:1万7280円
・扶養家族6人:1万4040円
・扶養家族7人:1万810円

と決まっています。
ここまでは、あくまでも「課税所得が月に60万円」ということで計算してきました。社会保険料などが引かれた後で60万円ということです。
額面上、天引きされる前の支給額はもう少し高いことになります。それでは、文字通り給料60万円=額面60万円の人というのは、一体どのくらいの所得税を払わなければならないでしょうか。具体的な数字を簡単に知る方法を紹介します。インターネットで「給料 手取り 計算」などと検索すると便利なサイトが多数出てきます。
 
所得税は扶養家族の人数や社会保険料の控除額などによって異なることから、一人ひとり金額が違います。
自動計算をしてくれるアプリやシミュレーターは必要事項を入力することで、簡単に税金の金額を算出することができます。いくつかのサイトで計算してみた結果、「月給60万円」の人の所得税は、3万2100円~3万2350円と算出されていました。

給料60万の人の住民税【都道府県民税+市町村民税】

住民税とは、都道府県や市区町村などの自治体が住民に対していろいろなサービスをするために必要な費用を、住民に負担させるための税金です。
住民税として徴収されたお金は、道路や公園の整備、ゴミの焼却、学校、医療、消防、防犯など、住んでいる地域のために使われます。
また、役所の職員の人件費も住民税から賄われます。
毎年1月1日を基準として課税され、納税通知書が送られてきます。原則として都道府県民税も市区町村の役所が一括して徴収をすることになっています。
つまり、
住民税=都道府県民税+市町村民税(-調整控除)
ということです。調整控除とは、所得税との控除額の差を税制するために設けられている控除です。
さて、この住民税の求め方ですが、その課税方法には2種類があります。「所得割」と「均等割」という課税方法です。
・所得割:前年の所得金額に応じて課税される(年収が高い人ほど高くなる)
・均等割:所得金額にかかわらず定額で課税される(住民みんな平等)
通常、この所得割と均等割の2つを合算して、支払う住民税が決まります。
均等割の額は自治体によって額が異なるため、住んでいるところによって金額は変わります。なお、専業主婦や学生、ニート、生活保護の人など収入のない人は非課税対象となります。
また、東日本大震災の影響で、復興財源の増税がされています。増税の対象は均等割で、
都道府県民税がプラス500円、市町村民税がプラス500円の計1000円が、平成35年度までの10年間上乗せされて増税されています。
多くの市区町村では均等割は
・都道府県民税1500円
・市町村民税3500円
(合計5000円)
となっていますが、夕張市など財政破綻してお金が必要だという市区町村では市町村民税が4000円となり、計5500円の均等割、というところもあります。
シミュレーターを使って計算してみた所、月給60万円の人の住民税は、以下の通りです。
 
・月給60万円、年収720万円(ボーナスなし)、東京都在住
住民税:49万7500円(月額4万1458円)
 
・月給60万円、年収960万円(ボーナス4ヶ月分)、東京都在住
住民税:71万3500円(月額5万9458円)

給料60万の人の住民税早見表画像

給料60万円の社会保険料「健康保険料・厚生年金」はいくら?

怪我や病気、災害、そして失業。生きている限り、いつ何が起こるかわかりません。そのための保障が、「社会保険」です。
・健康保険
・介護保険(※40歳以上)
・年金保険
・雇用保険
などの保険を総称して「社会保険」と呼びます。
会社員の場合、会社の健康保険(健康保険組合、または協会けんぽ)と、厚生年金に加入します。
健康保険は、加入していると個人の医療費負担が3割になります。病院で「保険証を見せてください」と言われるのは、この健康保険に加入しているかどうかを確認するためです。
健康保険に加入していないと、10割負担になる(全額自分で支払わなければならない)ため、今が健康でもいつ怪我や病気をするかはわからないので、非常に重要な保険です。
年金保険は、公的な年金制度で将来の生活を保障するものです。将来的にどうなるかちょっと不安視されていますが、労働者は厚生年金に強制的に加入することになります。
健康保険と厚生年金は、給料のそれぞれ一定の割合を、会社と個人が二分の一ずつ負担することになっています。
・健康保険料:標準報酬月額×4.955%(協会けんぽ、個人負担分)
・厚生年金:標準報酬月額×8.914%(個人負担分)
具体的な金額は、協会けんぽのホームページの一覧表に掲載されています。
 
以上を踏まえると、月給60万円の人の健康保険料と厚生年金の個人負担額は、
・健康保険料:2万9234円
・厚生年金:5万3985円

となります。加入している健康保険や年齢、住んでいる自治体などによって金額は変わり、年度によって税率が変更になる場合もあります。
よって自動計算するシミュレーターによっては数字が違うことがあるため、正確な額は各自の給料明細を確認してください。

【まとめ】給料60万の人が年額持っていかれる税金

累進課税制度のため、収入が上がれば上がるほど引かれる税金の額は大きくなります。扶養家族の人数やさまざまな控除があることから、個人個人で引かれる税金額はことなります。
一般的には、収入の約80%が手取りとなるといわれているので、約20%が税金で持って行かれるということになります
。収入60万円、年収720万円の場合は144万円、年収960万円の場合は192万円が税金で引かれてしまうということになります。200万円近くも引かれるというのは、頑張って働いたのに…と納得がいかない人もいるかもしれません。
しかし、その税金はライフラインの整備に使われたり、自治体のサービスに使われたり、何かあったときの備え(保険)となります。また、現在困っている人の助けにもなっています。社会の役に立っているということで、我慢しましょう。
年収800万円くらいが「年収が上がって幸せだと思う限界点」だともいわれており、給料60万円の人というのはなかなか難しいところに立たされているともいえます。
きちんと税金を収めていることに誇りをもちつつ、地道に働いて収入を上げる努力をすることが、満足感を得るためにも必要かもしれません。