国家公務員の俸給表とは?種類や号、等級など俸給表について解説します。
国家公務員の俸給表
日本で一番安定している職業といえば、公務員。刑事事件でも起こさない限りはクビになることもなく、年功序列で確実に昇給していき、定年まで勤めることができます。そんな公務員は、国家公務員が約58万人、地方公務員が約274万人います。
そのうち国家公務員は日本の中枢部である各省庁に勤める職員です。
総合職は「官僚」と呼ばれるエリートで、民間の大企業並み、もしくはそれ以上の給料がもらえます。
一般職は「ノンキャリア」と呼ばれ、総合職に比べると出世の速度も遅く、給料も地方公務員並みの場合もあります。
そんな彼ら国家公務員の給料は、一体どうやって決まっているのでしょうか。
俸給表とは?
国家公務員の給与は、法律に基づいて定められています。給与は、職務の複雑性や責任の度合いなど仕事内容に応じた給料である「俸給」と、そのほかの「諸手当」があります。
俸給は、民間企業でいうところの「基本給」と同じだと考えてよいでしょう。
諸手当には、扶養手当や住居手当、通勤手当、地域手当、寒冷地手当、期末手当(ボーナス)、勤勉手当などがあります。
ちなみに、ボーナスは4.3ヶ月分が2回に分けて支給されます。かなり多くの種類の手当があるので、俸給表以上に給与をもらっている人がほとんどです。
国家公務員法では、国家公務員の給与等の勤務条件は、「国会により社会一般の情勢に抵抗するように定めること」とされています。
それにともなって、人事院は毎年少なくとも一回、俸給表が適当であるかどうかについて国会と内閣に報告をすることになっています。
人事院は民間企業の従業員の給与水準と同程度にするために、毎年民間と国家公務員の給与を比較して、高くしたり低くしたり、といった調整を行うように国会に勧告をするのです。そのため、景気が良くなって民間企業の給料が上がれば、国家公務員の給料もそれに応じて上がり、民間平均が下がれば、国家公務員の給料も下げられます。
この、国家公務員の給料を決めている人事院は国の機関であるので、勤務している職員は国家公務員となります。
つまり、「公務員の給料を公務員が決めている」ということになります。すなわち、絶対に自分たちに不利になるような、積極的に給料を削減して節約に努めることはない、ということです。
また、参考にしている民間の平均給与というのも、上場している大企業を参考にしていることから、自ずと給与水準は高くなります。こうした点は以前から問題視されており批判も多いのですが、今のところ大幅な改革は予定されていません。
俸給表の種類
俸給表には、その職務や勤務条件などによって、11種17表に分類されています。17の俸給表と対象者は以下の通りです。
1,行政職俸給表(一):一般行政事務職員など
2,行政職俸給表(ニ):同上
3,専門行政職俸給表:航空管制官など
4,税務職俸給表:税務署職員など
5,公安職俸給表(一):刑務官、海上保安官など
6,公安職俸給表(二):同上
7,海事職俸給表(一):船員など
8,海事職俸給表(二): 同上
9,教育職俸給表(一):気象大学校の教授、准教授など
10,教育職俸給表(二):同上
11,研究職俸給表:研究所の研究員など
12,医療職俸給表(一):医師、薬剤師、看護師など
13,医療職俸給表(二):同上
14,医療職俸給表(三):同上
15,福祉職俸給表:保育士など
16,専門スタッフ職俸給表:情報分生還、国際交渉官など
17,指定俸給表:事務次官、局長など
俸給表によって級数や号俸の設定は異なり、給与金額も違います。
また、配偶者や扶養家族の人数によっても手当などに違いが出ることから、個人によって手取り金額は変わってきます。
俸給表の等級と号は何を表すの?
俸給表は、横軸の「級」と縦軸の「号俸」で構成されています。
「級」とは、簡単にいうと役職です。課長、係長、係員といった職務段階に応じて、職務の「級」が定められており、昇進した場合に上の級へと格付けされていきます。級が上がることを「昇格」といいます。
「号俸」とは、勤務年数や功績、能力などが反映されたものです。級をさらに細分化したものとなります。頑張りに応じて(というかほとんどは年齢に応じて)号俸が上がっていきます。号俸が上がることを「昇給」といいます。
行政職俸給表(一)の場合、1級から10級まであり、号俸は1号から125号まであります。
最低金額は1級(係員)1号俸の14万1600円で、最高は10級(課長)21号棒の55万8700円です。級と号俸の組み合わせによって金額は変化します。号俸よりも級数(役職)が給料アップには重要なポイントとなります。
初任給は各省庁や学歴、職務内容によってどの号俸から始まるかが変わります。スタートが違うので、給料にも差があります。
例えば、本省内部部局等に配属される場合、総合職の院卒者は2級11号俸、月額25万8980円、大卒程度は2級1号俸、月額22万6940円が初任給となります。一般職の大卒程度で1級25号俸22万140円、高卒者は1級5号、18万1620円が初任給となります。
地方公務員と国家公務員だと適用される俸給表は違うの?
「俸給表」は国家公務員に適用されるもので、地方公務員は各自治体によって定められた「給料表」が用いられます。
給料表には、
・行政職給料表(一)
・公安職給料表(一)
・教育職給料表(一)、(二)、(三)、(四)
・研究職給料表
・医療職給料表(一)、(二)、(三)
・福祉職給料表
・第一号任期付研究員給料表
・第二号任期付研究員給料表
・特定任期付職員給料表
・海事職給料表(一)、(二)
などの種類があります。あくまでも基準の給料表なので、職員数の少ない市町村ではそれぞれの実情に即するように上記の基準の給料表よりも簡素化した給料表が定められていることもあります。
給料表は級と号俸で構成されている形は俸級表と同じですが、金額は異なります。スタートの号俸も自治体や学歴によって違うため、給料に差が出ます。
国家公務員の給料は「俸給表」で定められて公表されており、一見とてもオープンに見えますが、実際には各種手当が複雑な計算を用いて上乗せされるため、本当のところいくらもらっているのか、というのが分かりにくくなっています。
また、「級」は役職手当ととらえることもできますが、年齢で確実に上がっていく「号棒」は民間の感覚では理解しがたい部分があります。
公務員という仕事の特性上、売上や利益など目に見える数字での評価をつけにくいという点から導入されていることはわかりますが、難解で複雑にすればするほど世間とのギャップが大きくなっていくのではないでしょうか。古い制度がそのまま残っているのがこの「俸給表」なのです。
日本の国家予算は約100兆円。収入は約40兆円で、残りの約60兆円が借金で賄われています。
そのうち約5兆円が国家公務員の人件費に充てられているのです。
公務員の給料は我々国民の血税から支払われています。よりわかりやすく納得のいく形となることが今後望まれます。
俸給表を見るには
下記より見ることが出来ます。
人事院HP