給料手渡しの場合は税金はかかるの?領収書受領書はもらえるの?不正はばれるの?手渡しの謎を解説します。 | 給料BANK

給料手渡しの場合は税金はかかるの?

給料手渡しの場合は税金はかかるの?

給料手渡し画像

給料手渡しの場合は税金はかかるの?

かつて給料は給料袋に入れられ、毎月決まった日にうやうやしく支給されました。
実体のある給料は重みがあり、また一生懸命働いた勲章でもありました。
現在は銀行振込が主流になり、給料袋を見る機会は減りました。しかし、個人経営の店のアルバイトや小規模事業者では、いまでも「給料は手渡し」というところが存在します。
そんな給料手渡しの場合にかかる税金について解説します。

給料手渡しの場合は税金(所得税)は最初から引かれるの?

給料が手渡しであっても、振り込みにするのか給料袋で渡すのかという支払い方法の違いでしかないので、税金は必ず支払わなければなりません。
所得税を源泉徴収するのは勤務先の義務です。
しかしその義務を怠っている会社も多いので、源泉徴収がされていない場合は個人で確定申告をして、所得税を納める必要があります。多めに所得税が会社に源泉徴収されていた場合は、年末調整で戻ってきます。
必ず税金は支払わないといけませんが、収入の少ない人には所得税がかかりません。具体的には、給料が月額8800円未満の場合、所得税は0円となるので、源泉徴収額は0円となります。
ここで注意が必要なのは、扶養家族として夫の扶養に入っているパート主婦の場合です。夫の扶養に入っているパート主婦の場合、年額103万円を超えると所得税がかかることから「103万の壁」といわれています。
103万円というのは、給与所得控除65万円+基礎控除38万円=103万円の配偶者控除のことです。給与収入がこの金額を超えてしまう分に所得税が課税されることになります。
2018年からは配偶者控除は103万円から150万円に引き上げられることになっています。
今までセーブしていた働く時間を増やせる人もいる反面、夫が高収入(年収1,220万円以上)だと配偶者控除が適用されない、などのデメリットもあるようです。
103万円は超えていないし、所得税はかからないから、何も支払わなくてOK!とはいきません。
忘れてはならないのが、住民税の存在です。住民税は自治体によって、所得税とは別に計算されます。
おおむね年収100万円前後から住民税がかかってくるところが多いようです。所得税が0円でも住民税がかかる場合があるので注意しましょう。

給料手渡しの場合、扶養(130万円)には申告する必要があるの?

年収が130万円を超えると、社会保険に加入しなければならないと定められています。
これは給料が手渡しでも同じです。
社会保険に加入することによって、社会保険料を支払うことになります。
社会保険料を支払うということは、扶養から外れなければならなくなります。
これが「130万円の壁」といわれるものです。
年収が130万円未満ならば、第3号被保険者となり社会保険料を支払わずに将来の年金がもらえるということになります。
給料が手渡しだろうが振込だろうが、扶養に入っており、年収が130万円を超える場合は、夫(または親)の勤めている会社に申告をする必要があります。
黙っていても確定申告をすれば分かってしまうことなので、後に追徴されることになります。
じゃあ、確定申告をしなければよいか、といえばそれもダメです。
結局はパート・アルバイト先の会社が税務署に申告をしているので、そこからバレてしまいます。悪いことはしないに限ります。

給料手渡しの場合、領収書や受領書は確実にもらうことができるの?

給料手渡しの場合、会社からは給料明細をもらうことになります。小さな会社では明細を出してくれないところもあるようですが、本来は出さなければなりません。
実は労働基準法では給料明細を発行することが義務付けられてはいません。
会社によっては「給料明細はWebで閲覧してね」というところもあります。
じゃあ給料明細は結局のところ発行しなくてもよいのかというと、そうではありません。
所得税法上は計算の過程や結果がわかる書類を出さなければならないことが決まっているので、結局は給料明細を出す必要があるというわけです。
もし、それでも給料明細を出すことを渋る会社があるとしたら、何らかのルールを破っており、よからぬことをしていると思って間違いありません。
会社にお願いしても給料明細を発行してくれない場合は、労働基準監督署や税務署に相談をするとよいでしょう。
また、賃金未払いなどがある場合は弁護士に依頼して支払督促など内容証明を送るという方法もあります。
手渡しの場合は銀行振り込みのように記録が残りづらいので、手渡しでもらった給料は必ず記録をつける、勤怠の記録も保存するなど、個人でも対策をしましょう。

マイナンバー制度で給料手渡しなどで不正はできないの?

マイナンバー制度が始まり、2017年より確定申告の際にはマイナンバーが必要になりました。
個人に割り振られた番号により、税や社会保障など横のつながりを紐付けることが可能になり、役所の業務を効率化して公正な納税や保障に役立てることができる、というのがマイナンバー制度のメリットです。
会社勤めの人のほとんどは、2017年までにマイナンバーを報告するように会社から通達があったのではないでしょうか?
会社側も税務署へ納税や報告する際に従業員のマイナンバーを使っているのです。給料が手渡しであっても、税務署は個人の収入や納税記録を番号で把握していることになります。
もしも申告を怠れば、すぐにわかってしまいます。
これまで申告せずにこっそり副業をしていた人や、アルバイトを複数掛け持ちしていて納税を怠っていた人も同様です。
税務署ではなく社会保険料や公的な手当など役所の記録から紐付けられて、税金の不正が明らかになる可能性もあります。管理社会は監視社会でもあるのです。ズルをせずにきちんと税金を納めるのが賢いやり方です。
 
 
昔懐かしく、給料のありがたみを実感できる「給料手渡し」。税金の誤魔化しや不正がしやすそうに思われますが、マイナンバー制度の始まりによってそうした認識は改めた方が良さそうです。
今後は配偶者控除や社会保険料控除も改正されることになるため、自分が一体年収いくらまで稼げば損をしないかなど、きちんと調べておくことが重要です。