給料が安い基準や定義と給料が上がらない職業を調査しました。 | 給料BANK

給料が安い基準や定義と給料が上がらない職業

給料が安い基準や定義と給料が上がらない職業

給料が安い基準ってどのくらいから?

「一億総中流」といわれたのは1970年代のことです。
それから40年あまり経ちました。
内閣府の世論調査によると、今でも約70%の人が「中の中以上」の生活の程度だと考えているようです。
その一方で、厚生労働省の調査によると、「生活が苦しい」と感じている人の割合は60%となっています。
言葉の綾なのかもしれませんが、みんな「給料が安い、生活が苦しい」と言いながらも、意外と多くの人がいまだに中流意識は持っているというのがなんとも不思議です。
 
給料が高い安い、は相対的な感覚です。
全世界の平均月収は約7万円。それよりは毎月もらっている、という日本人がほとんどだと思います。ちなみに、世界で最も貧しい国、中央アフリカ共和国は、平均年収7万円5000円だそうです。月収じゃなくて年収です。
とまあ、世界を見たらキリがないので、あくまでも日本国内の「給料が安い」という定義について考えてみます。

給料安い基準画像

給料が安いという定義はいくらから?

厚生労働省が行っている賃金構造基本統計調査によると、平成27年度の平均給与は30万4000円。男性は33万5000円、女性は24万2000円となっています。
ボーナスが4ヶ月分もらえるとして、年収にすると、平均年収は486万4千円(男性:536万円、女性:387万2000円)になります。
 
しかしボーナスがまるっと4ヶ月分ももらえる企業も少ないので、実際はもう少し平均年収は低くなります。
国税庁が毎年発表している「民間給与実態統計」によると、平成27年度の平均年収は420万円で、男性は520万円、女性は276万円でした。
 
よって、上記の統計を踏まえ、月額30万4000円未満、ボーナスを含めた年収が420万円未満だと、「給料が安い」と考えることができます。
 
ただし、これはあくまでも“全国平均”です。
住んでいる地域によって、実は賃金にはかなりの差があります。
厚生労働省は、都道府県別でも平均賃金を出しています。
それによると、最も月収が高かったのは東京都で、38万3000円。
最も月収が低かったのは青森県で、23万5600円でした。
全国平均の30万4000円を超えている都府県は7つ(埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、愛知県、京都府、大阪府)しかないため、残り40道県は平均以下の給与です。
人口や地域の物価も違います。持ち家か賃貸か、扶養家族がいるか、など、個人の状況もさまざまです。そのため、一概に「いくら以下なら給料が安い」とは言い切れません。
 
では、日本国政府としては、いったいいくらの給料が必要と考えているのでしょうか。
「健康で文化的な最低限度の生活」を送るために定められている生活保護では、地域や世帯によって支給額は異なる、としています。例として東京都を挙げてみると、
生活扶助(7万9000円)+住宅扶助(5万3000円)=13万2000円
となっています。
もしも東京都在住で給料が13万2000円以下なら、「健康で文化的な最低限度の生活を送れていない」ということになり、確実に「給料が安い」といえます。
転職を検討したほうがよいでしょう。

安い給料の基準は業種によって違うの?

国税庁の「民間給与実態統計」による、平成27年度の業種別の平均年収をグラフにしてみました。

業種別平均年収グラフ画像

最も年収が高いのは、「電気・ガス・熱供給・水道業」の715万円で、最も年収が低いのは「宿泊業,飲食サービス業」の236万円となっています。
インフラ系は強いですね。需要が安定しているため、高水準の給料となっています。
インフラ業界なら全国の平均年収420万円は「安い」し、飲食系サービス業なら「高い」ということになります。
 
業種で平均年収にかなりの差があるため、「給料が安い」という基準はまったく違います。

給料が安いとどんな弊害が出てくるの?

「地獄の沙汰も金次第」だとか「金の切れ目が縁の切れ目」だとか、お金に関することわざは世界各地にあります。
しかし「金はない方が良い!」という格言は見当たりません。
すなわち「給料が安いメリット」などというものは存在しないと思ってよいでしょう。せいぜいサバイバル術に長けて食べられる野草の知識が増えるとか、富士の樹海までの道程に詳しくなるとか、悟りを開く可能性に一歩近づくとか、その程度のことです。
 
それに比べて「給料が安い」ことの弊害は、多々あります。
収入が少ないということは、その分、「可処分所得」が減ります。これは、税金など支払い義務のあるお金を除いた、個人が自由にできるお金です。
個人的な観点から見れば、可処分所得が少ないために、好きなものが買えないだとか、旅行ができないとか、ローンが組めないとか、結婚できないとか、色々考えられます。病院代がかかることを思うと、おちおち病気にもなれません。
また、基本給が低いがゆえに、それに応じて掛けられる厚生年金が減り、将来受け取れる年金額が下がります。退職金も低くなります。そうした将来への不安から、ストレスを抱える可能性もあります。
共済・厚生年金に加入していない非正規労働者の場合、国民年金(一律1万5590円※平成27年現在)を毎月支払わねばならず、これは定額制のため、給料が低ければ低いほど不利となります。
 
社会的な観点から見れば、国民の可処分所得が減れば消費が冷え込み、景気が下がります。
低収入が原因で結婚率が下がれば出生率が下がり、将来の労働力が生まれないことから国力の低下につながります。実際に、国内総生産(GDP)は1997年をピークに減少傾向にあります。
また、低所得の親から生まれた子どもは低学力となる傾向があり、貧困は連鎖し、格差は広がっていきます。格差が広がれば社会は不安定となり、治安も悪化します。
 
お金がないゆえに、「楽して稼げる」的な怪しげな投資や詐欺ビジネスに引っかかってしまったり、犯罪に巻き込まれることもあります。
お金はあるに越したことはありません。
また上位以外にもモチベーションがあがらず元気がでないなどポテンシャルの問題もでてきます。
参照:https://kyuryobank.com/kyuryoagaranai
つぶやきも暗くなってしまったりもしますね。

給料が上がらない職業画像

給料が上がらない職業ってどんなのがあるの?

求人大手のアンケート調査によると、給料が上がるのは「専門スキル」を持った人だといいます。職業としてはIT・インターネット、メーカー、コンサルティング業界が、年収が上がる傾向があるようです。具体的な職種では「ITコンサルタント」や「データサイエンティスト」などが年収が上がる職業として挙げられています。
データを解析し、経営戦略に基づいたシステムを提案したりといった専門スキルは需要が大きく、給料は上がっていくようです。
 
逆に言えば、「専門スキル」が必要ない職業はあまり給料が上がらないといえるでしょう。
例えば、一般事務や軽作業の仕事、小売店の販売やレジ打ち、無資格者OKの肉体労働などでは、給料はなかなか上がらないようです。
年功序列制度を採用している企業ならば、微増ながら昇給も見込めます。しかし、それ以外の企業では、「代わりがきく」と判断されると給料は上がりません。
 
現在、日本には約400万社の会社があるといわれています。個人事業主を除くと約170万社となります。
国税庁の調査によると、平成27年度の赤字企業は全体の66.7%にのぼります。(※この数には色々とからくりがあるようなので、どの会社も経営難、というわけではありません。)そして、毎年1万~1万5000件もの企業が倒産しています。
昇給に期待しても、会社が儲かっていないならばなかなか給料は上がりませんし、給料が上がらないどころか、潰れてしまったら無収入となってしまいます。
 
『会社四季報』に掲載している上場企業は、約3600社となりますが、この上場企業であっても、年収400万円未満は222社あり、年収300万円未満も9社あります。
上場企業だからといって、給料が上がることが期待できないこともあるわけです。
 
近い将来、機械や人工知能AIなどが人間の労働を奪うという話もあります。
辛い労働から解放されるのは結構なことですが、不気味なほほ笑みを浮かべるロボットに自分の仕事が奪われてはたまりません。
そんな脅威に対抗するためにも、会社の経営状態をよく調べ、専門スキルを身につけたり、自分の労働価値を上げるために努力をすることが今後は必要となります。
 
あなたは「私の代わりは誰もいない」と、胸を張って言えますか?
「お金は必要だが、重要ではない」というインディアンの格言が存在するのもまた事実。
お金に振り回されずに、自分の価値を高め、周囲に認められて、結果的に給料が上がることが一番の幸せなのかもしれません。